傷あとと共に歩む、新たなる創造

時間の経過は、人にある種の癒し施しを齎しますが、完治した後も手術痕が消えないように、心の奥深くに刻まれた数多の経験跡もまた、生涯消えるものではありません。

欧米には『サバテイカル』と呼ばれる『使途を限定しない一定期間の長期休暇』制度が根付いている。単なる休息ではなく、学び直しや自己再見のために『解き放つ時間』がキャリア途上に用意されているのだ。離れてみて気づくこと、離れて理解出来得ること、漫然とした日常からの解放は、心身の健やかさを取り戻し再起動を惹起する。ここ数年はまさに私のサバテイカル?サバイバル?。一方からしか見えなかった景色が多方から見てみる、見識へと変わっていった。過去は塗りつぶすのではなく、それを自身のレイヤーとして、次なるステージへの発進力に変えていく。。。。
それが2026年を迎えた今の私の心境です。

「運営」の体感から導き出された「経営」の解

私のキャリアの根幹には、常に「現場」というリアリティがありました。 総支配人として8年余り。ゲストと直接向き合い、ホスピタリティ事業の生命力である「運営」を肌身で感じられたことは、後に「経営」を司る立場になった際、大きな果報をもたらしました。

取締役、そして新設子会社の代表取締役として歩んだ7年余りの日々。そこで見出したのは、「経営と運営の理想的な連動」です。 特に「健康経営」こそが、現場の「澱みない運営」へと導く源泉であると痛感しました。経営が盤石であり、かつ透明化されていれば、現場に疑念は生まれません。事業は慈善事業ではないからこそ、利益を追求し、株主への説明責任を果たす。この当たり前ながらも重い責務を、私は株主総会議長の経験を通じ、数値的検証の工程からも深く学びました。

組織に宿す「正しさ」という信念

組織の在り方は、時に属人的な方向に流れる危うさを孕んでいます。 かつて参画した会議体において、組織論や倫理観の欠如に直面したこともありました。しかし、歪曲した個人的な判断は誤った誘発事象を招き、ひいては企業損失の引き金となります。

企業の信頼性を担保するために、私は幾たびか進言を重ねてきました。 「組織のトップは正しい人でなくてはならない」 この信念を貫き通したことは、今振り返っても一点の曇りもありません。その愚直なまでの誠実さが、これからの私を支える背骨になると確信しています。

2026年、午年の決意

2026年、午年の幕が明けました。

本年は、これまでの歩みで得た知見を惜しみなく注ぎ、「ヘルシー経営」と「発展経営」の実践に邁進してまいります。 更なる自己研鑽を積むと共に、ライフワークである「スイス観光史」の探究を深め、ホテル業界のみならずホスピタリティ経営の真髄を形にしていきたいと考えております。

本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

ホテル・マイサー
オーナーのベノとマヤ
地方ホテルの経営と運営をつまびらかに取材できた