前項で「ラグジュアリ―の本質」について大まかな概要を綴った。結びにそのプロパテイを演出するに最も大切な「人財」「教育」について述べたい。わたくしはスイス在住の経験から主に欧州ホテル(民宿から高位ランクホテルまで)を見聞する機会に恵まれた。「人」が想像し、それを創造へと繋げること、また、転換点に於いては革新に近い演出をも創造し、時代に則した「ホテル時間」を成熟させること。交わる人々と共感共創する志と実践力は肝要であること身を以て体感した。スイスホテルスクール生時代、チーム編成のもと、ひとつのバンケット(宴会)企画から実行アフターフォローまで経験する機会があった。
宴席を創り上げるには、其れに関わるひとりひとりに役割があり、いわずもがな各人が主役たる栄えある責任をも負っている。
目標地点を同じくする仲間の団結力は固い。幾つかの山場を経て無事にゲストを迎え開催の暁には、その場にながれる豊潤な「ホテル時間」があり、お客さまのみならず、関わる全ての人の中に共感共創が生まれ出のだ。それこそがラグジュアリー。
関わる人々が「誰かのために」と、渾身のイマジネーションを働かせ、クリエイテイブな働き促し、団結して目標へ進む推進力、これらから為される『ラグジュアリーホスピタリテイ』の最高峰は、見せかけのゴージャスさを遥かに凌駕する。
「人間力」への畏敬、高い志し、それこそがラグジュアリーの楚ではないのだろうか。
ラグジュアリー人財の深化には、「想像力」「創造力」「革新性」の成熟が大切であること、スイスの現場は教えてくれた。
