ホテル・ホスピタリテイ研究家として『伝え書くこと』
その探究取材準備。それに時間を費やし5月22日以降のコラム投稿は休眠でした。
お待ちくださった皆さま、恐縮にぞんじます。

6月9日よりおよそ3週間、
ライフワークでもある『スイス・ヒストリックホテルズ』探究に加え、今回は地方都市の観光賦活施策、協働施策ミーテイングミーテイングおよびデイスカッションを2都市で敢行、更にはこちらもライフワーク(いや、事業?)山岳リゾート5つ星ホテルの定点観測、取材、新規取組みへのデイスカッションと、3週間では不足感否めないほど先取性漸進性に富んだ旅路でした。

『仕事と休暇のハーフ&ハーフ』と、半ば自身のなかで決めこんで旅程を立てるも、
知人友人を介して紹介していただいた方、または自身で直接アプローチをして取材交渉を行った方、いずれであっても『対人』をベースとして向き合う取り組みであり、それには出発前の準備に殊の外時間をかけました。

当然の話ですが、西洋社会に於いて面会希望をする際、
① 面会の趣意は何か?
② 双方間において何が成立できるのか?
これらを明示し、イニシャルアクションとして『面会申し入れ』を行うのが前提にあります。
国内でよく耳にする、『まずはご挨拶に伺いますのでお時間いただけますか?』のニュアンスは基本存在しない。
殊にビジネスの場ではその傾向は顕著であり、申し入れをする段階で、こちらの趣意が明確でないと断りが入ることも少なくありません。人脈とは『その数を言うのではなく、貴女に何が出来るかを知って繋がっている人々』と教えてくださった経済コラムニスト故大江英樹先生の言葉が頭を過りました。始まりはビジネスライクかも知れない事でも、目的目標を明示しそれに向かって共に歩調を合わせていくうちに、双方間には揺るぎのない信頼と確固としてフレームが出来上がってきます。
ボヤっとした仲間内関係からビジネスに発展するケースとは異なり、根幹がぶれない、馴れ合いが少ないなどの利点がある一方で、双方間合意がNGな場合は、そもそも発進すらしない(お試しがない)入りの汎用性にやや欠ける難点もあります。

いずれにいたしましても、今回の視察取材は私の目的は明瞭であり、それが相手側にどのような理解を得られ具体化できるかにかかっていました。ゆえに出発前の準備打合せに相当な時間を要し、詰めを万端にしていったのが本当のところです。

【具体性のあるビジョン】+【熱量=パッション】
論理的思考のみでは無味乾燥な机上の空論にもなりかねない。揺るぎのない熱い思いがあり、それが相手に伝わるある種の凄みが肝要であること。それを今回のスイス視察取材を通して私は学びました。
つまるところ、我々は心をもった人間同士。整理された論理的思考と感性に訴求する魂が相重なってこそ共感共創の機会が生まれてくるのではないかな。

『寄らば大樹の陰』を好まない私には、上述の様なビジネスストラクチャーを創っていくのが遣り甲斐でもあります。

今回、スイス東部地方を主体に回る旅となりました。
学問と芸術の街ザンクトガレン、南チロルにもほど近いエンガデイン地方グアルダ村、グラウビュンデン州都クール市、中長期事業計画をもってエリア開発に顕著なアンデルマット、そして我が第二の故郷バーゼルと一時期住民であったラインフェルデン市
St. Gallenを除き各所、3泊以上滞在しキーパーソンとの会談とエリア視察。観光旅行とは異なる視点で、観光大国スイスの地方観光の現況、展望、取り組む人々の姿勢、そして各地の雄大な自然と美味しい食、芸術にも言及し綴ってまいります。

止まることのない円安基調、また、旅程そのものが所謂スイス観光スポットとは異な場所であることも相乗し、
コロナ禍前には、行く先々で聴こえた日本語をまったく耳にすることはありませんでした。日本人観光客の減少。それと同時に、反転のオーバーツーリズム問題。いやはや、観光業は一筋縄ではいかない、常に課題を抱えた産業であることを目の当たりにしながら、それゆえに醍醐味に事欠かない。それに高揚する自身に気付く、そんな3週間。

順不同で綴ります。お付き合いいただけましたら幸いです。

St.Gallen 街角の光景。デパートも歴史的建造物 『建築』が街の景観を成す、その本質を教えてくれる。利便性のみを追求すれば近代的ビルが良かろう。歴史的建造物を利用する事で、百貨店の付加価値を高めている。新鮮さを呈している。