再訪から8年、色褪せぬ想い出
スイス・ラインフェルデン(Rheifelden in Switzerland)
Facebookのサーヴィス?
本人ですら忘れている想い出場面を色鮮やかに呼び起こしてくれる。画期的な機能だ。
『○年前の今日、××に居ました』日付までも明確に教えてくれる。「教えてくれる」=『過去時点に投稿をした』を証左するものでもある。
2015年11月25日、私のオリジナル家族(両親、弟2人)スイスにいたらしい。各々、各地からフライトし現地集合。
全員揃ったのはルツェルン湖のほとり。低い雲が立ち込める寒いであった。湖畔から船で保養地Weggisへと渡る。何の決め事もせずのんびりと5人で過ごす時間であった。弟たちはそれぞれに家族をもち、私もホテルGMとして仕事に邁進する日々。幼き頃、5人であった家族肖像もその生活スタイルにより、1人、また1人と生家を後にしていく。こうしてオリジナルが集まることは貴重な時間なのだ。
かつて在住したラインフェルデンには、どうも両親と私のみが訪れたようだ。写真を見ながら、少しずつ記憶の糸を手繰り寄せる。
あの頃、足蹴く通ったカフェ、レストランを巡る。フェルドシュロッセン(いわゆる地ビール醸造所)醸造所から徒歩20分ほどのライン河沿いには、ビール会社直営レストランがある。築云百年?の建造物。窓越しにライン川を眺められ屋内、夏季お天気のよいときにはテラス、屋上オープンエアの中、グビッと喉を潤すのがほぼ日課。地ビールとの相性抜群は名物、「カルプヴルスト」 (仔牛のソーセージ)いため玉葱ソース、 「ザ・ご当地グルメ」は総じて塩分が強い。それも乗じて酒量は止まることをしらない(笑) 陽が暮れるにつれ、皆、陽気になっていく。
想いでの場所でランチを楽しみ、徒歩5分とかからないCafeGrafへ移動。
同じくライン川沿いにテラスと屋内を併設するカフェ。冬枯れにくすむ寂しげな景色を窓越しに見ながら、季節限定のヴァミッシェリのパフェ(モンブランのパフェ)を愉しむ母、私はキルシュバッサー(サクランボのリキュール)香り漂うCoupをいただく。ここはショコラテイエ(チョコレート店)でもある。いづれのスイーツにも妥協なきホンマモンの材料を用いて職人魂を客人へと振舞う。それはそれはありがたや、カフェである。生クリームは俗にいうホイップクリームではない。乳脂肪分の高い純クリーム。泡立てながら程よく空気を混ぜていきドッシリとしたフワホイップとなる。濃厚さは際立ち、またそれゆえに溶け方は一段と早い。お喋りに夢中になろうもんなら、クリームは高脂肪ミルクになっている。それこそがホンマモンの証だ。
スイスへ転居、当初の3か月間は、父と私のみが赴き生活する日々が続いた。専門職に就いていた母は都合上遅れてのスイス入りとなったのだ。父の転勤が基でのスイス暮らし。わたくしは学生の身分ゆえに朝食作りはほぼ毎日私の役割、夕食も知人友人等との会食以外は私が作っていた。外食は概ね洋食になる。よって家では努めて日本食を作っていたことを思い出す。スイスの夏は22:00頃からやっと陽が傾いてくる。お夕食の後、ライン川沿いおよそ3キロ余りを散歩するのが父娘の日課。散歩で留めておけばエクササイズであろうが、到着、一休み、そのご褒美一休みが決まってこのカフェグラフ。まだ若さ漲る女子、カフェでコーヒーのはずがない!パフェ、パフェ、パフェ。日替わりパフェの如く、クープロマノフ、ピーチメルバ、ショコラなど、高脂肪クリームを食べ尽くしていたものだ。慣れとは恐ろしいもの。気付いたときには、あれっ?服がキツイ?!
一時帰国を目前にして散歩はジョギングへ、一休みのパフェはカフェへ、マインドチェンジ。
FBのメモリー機能は、8年前の思いでを起点に遥か昔○十年前の一コマ一コマを鮮やかに蘇らせてくれた。今夏、4年振りにここを訪れた。変わらず同じところに在って変わらず美味しいパフェのメニューが並んでいた。四半世紀以上の歳月が流れ、その間に私の自分史は大きな変遷を遂げている。変わらないものは、「その時その場所で得られた経験体験」。物理的なものではない。記憶の海馬に刻み込まれた「想い出」という名の宝は、その温もりをいつまでも讃え続けてくれる。プライスレスなのだ。いずこのコマーシャルではないが「Priceless」この言葉一葉は人生の宝とも言えるな

