私は生来『探究心』『好奇心』が強い。とは言え、現状は研究者になれるほどの学識には満たない。それでも『学ぶこと』には貪欲である。その『学び』を人生の豊かさと共に共創社会の創造に挑むスイスワイン研究家井上葡萄さん。好きを探究し社会課題と包摂的に取り組まれる姿は『学び』の拠り所を想起させていただいた。
長らくビジネス社会の中にどっぷり浸かっていて、『学術学問』は、もはや異次元の世界感も少なからずあった。
が、いま、探究を深めるに従い両者は相互補完特性にあり分別できないものとの認識に至っている。
ホテル経営責任者および運営責任者時代、
Board Diversity について幾度か私見提案した。
委員会の中で女性は私ひとり状況も稀有ではなく、『私の意見或いは個性』=女性の代表的思考へ置換される危うさもしばしば感じていたからだ。
スイスホテルビジネススクール時代、
座学よりもアジェンダ討議、事業創造に充てられる時間が大方を占めていた。
互いに意識していた事の一つに、
No add complexity.
Ability to simplify.
アジェンダの複雑化を回避し、本質を見極めるシンプル思考を堅持する。
おしなべて、複雑化させると論点は薄れ結論への道のりは遠くなる。
一方で、シンプル思考はシンプルゆえに学識、知見、経験値、探究心などがものを言い、自らの知識を深める務めが肝要。いわば学究そのものと言える。
実践専門学問は『教えてもらう』=受動性ではなく、『自ら探究する』=能動性。
世間を不穏に席捲するharassmentにしても、その明確な基準線引きは乏しい。個人感覚若しくは個人感情によるところも少なくないと思われる。1事例として、離職率(低定着率)の動向を企業価値ないしは経営運営評価へリンクする傾向だ。離職率=ブラック企業のレッテルがひとり歩きし、その実、中身の精査は空虚なものだ。低離職率=優良企業の型もまた然り。
ポータブルスキルの高い人材が、より高いスキル体得あるいは更に好ましい環境を求めて離職するのは珍しい事ではない。現状不満ではなく転職離職の理由は因として己のキャリアパス造成にある。その類いの方々は総じて向学心が高く『学び』を楽しみアップスケールに一義を置いている。最も厄介なのは現状不満を吐きつつ居座る状況だ。つまりは、前者のような離職者は上述の能動性に起因し、他方で後者は往々にして受動的思考が顕著である。キャッチフレーズの様に一括りにする事で逆に複雑化させている。よくある噂話も同じだ。本質の見極めに薄暮となり目の前の事象対応に終始することになる。学術×ビジネス、いずれも中長期的視点からの遡及が肝要ではないのだろうか。
表題の井上葡萄さん、スイスワインとの出逢いを起点に、それまでのキャリアとは異なる分野研鑽を積み修士課程を終え、目下、博士課程に於いてスイスワインの視点から拡充し持続可能な地域観光の研究リサーチに勤しんでいる。佳き先達の皆様との触れ合いは、光の波動が伝わってくる。
馴れ合い、受け身漫然化は成長を阻害する!
20歳代前半に受けた薫陶は四半世紀を過ぎた今でも私の髄になっているようだ。
