MATISSE,DERAIN,AND FRIENDS
The Paris Avantgarde1904-1908
@Kunstmuseum Basel
バーゼル美術館は、1671年に開館された世界最古の公立美術館のひとつであり、正式名称は「バーゼル市立美術館」。
バーゼルで財を成したアマ―バッハ家のコレクションを市が購入した作品の他、アマ―バッハ家がパトロンとなったハンス・ホルバインのコレクション、ゴッホ、セザンヌなどの印象派からシュルレアリズムなどの現代美術まで所蔵する
中央駅からトラムに乗り10分ほど、十分に徒歩圏内でもある。停留所「クンストムゼウム」下車すると、壮大な城壁のように佇む館を目の前にする。中央棟と新棟からなり、ファサード、中庭にはオギュースト・ロダン作「カレーの市民たち」を中心にして回廊が巡る。フランス政府認証の鋳造12体の一つだ。今回、特別展「マテイスとその仲間たち パリ・アヴァンギャルドの世界」の鑑賞に出向いた。チケット売り場で先述のバーゼルカードを提示すると半額になる。オンライン購入も良いがツーリストであればこちらを選択するのがお得。特別展チケット購入者は常設展も観覧可能。入り口で特別展のシールを手渡され、それをペタッと服に貼る。大きな荷物、コートなどはクロークへ。いざ、マテイスの世界へ潜入。自然への敬愛深く「色彩の魔術師」と称されるマテイスの絵画は、多彩なカラーを巧みに重ねていく重厚さ、自然回帰の慕情あふれる優しさ、彫刻や版画にも興じていた彼らしい立体的リアリズム、そのバランス感の麗しいことこの上ない。パロット・チューリップを見つけ、暫く目の前で釘付けになった。展示作品の中でも小さな部類に属するこの作品、色味の重なりは100超え?視線の角度により様々な咲き誇り方を魅せてくれるのだ。海辺の光景、婦人を描いた作品を多く遺すマテイス。南仏ニースへ拠点を移して以降の作品には、それまでのフォービズムの色彩にナチュラルな自然美が加味されたように思う。一方、晩年マテイス82歳、切り絵作品として知られる『ブルー・ヌード』は『色彩』とは趣の異なる白と青のみで構成されている。色鮮やかな人生の終着点で彼が到達した精神性の境地はいかに。。。そんな感慨を憶える作品だ。
仲間たちの中に、『ラウル・デユフィ』の作品も幾つか展示されていた。音楽をメインテーマした絵画を数多く描いた画家のひとり。彼もまた印象派、フォーヴィズム、モダニズムを踏襲する色彩の魔術師だ。そして私が最も好きなフランス近代絵画家でもある。セザンヌの影響を受けたと言われる彼の作風は明瞭な透明感とリズミカルな筆触に特徴づけられる。『パブロ・カザルスとアンサンブル』
『オーケストラ』、また、海の町で生まれ育ったデユフィの美感『ドーヴィルの突堤』北フランス・ノルマンデイーのグレー空と明るい衣服に身を包む夫人、白いヨットの帆。対照的な3趣をカンヴァスに納める、これも魔術師。
10時の開館と同時に入り、15時までゆっくりとたっぷり堪能する絵画の世界。館内は至る所に椅子、ソファも設置されていて腰掛けながら好きな絵画を思う存分鑑賞することができる。ランチ時には併設のカフェでお食事も可能。時間に急かされる事無く、画家たちが描く世界へと心も体も解き放たれてゆく。
15:30、いちどホテルへ戻り軽食をとり、服装をチェンジ。
19:00からは待望の時間、ロッシーニ作「セビリアの理髪師」初日公演@バーゼル歌劇場へ。

